簇葉むらは)” の例文
路傍の林の簇葉むらはは、その光を漉して、青い光を樹根きのねへ投げ、林の奧は見透されないやうに、光と影が入り亂れて、不思議な思ひを起させる。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
陰氣な街々にはまだ白い布が張り𢌞され、その布の上には常春藤きづたや、柊や、冬の簇葉むらはや、花なぞが剌されてあつた。
だからその口は、窓掛も鎧戸も殆んど不必要な程に、蔽はれて狹いのだ。身をかゞめて窓を蔽つてゐる簇葉むらはの一枝を押し除けると、私は中の有樣をすつかり見ることが出來た。
霧が一層濃く覆ひ被さつて來るやうな氣がする。其中で、霧が林の木の枝に引きかゝり、白樺の簇葉むらはにからまつて、やがて重い露となつて、ぼた/\草の上へ落ちるのが聞える。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)