竜口たつのくち)” の例文
旧字:龍口
阿部伊勢守正弘は三四月のかう病に罹り、五月以後には時々じゞ登城せぬ日があり、じゆん五月九日より竜口たつのくち用邸に引き籠り、六月十七日午下刻に瞑した。享年三十九歳である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
阿部正弘は竜口たつのくち用邸にゐた。屋舎が倒れて正弘の夫人松平氏謐子しづこの侍女七人はこれに死した。正弘夫妻は幸に恙なきことを得て、正弘は直に登城した。当夜第一の登城者であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)