神楽阪かぐらざか)” の例文
「なるほど小石川の方がよく見えるな。」と川島も堀外の眺望に心づいて同じように向を眺め、「あすこの、あかるいところが神楽阪かぐらざかだな。 ...
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
神楽阪かぐらざか。五十銭。」と矢田は君江の手を取って、車に乗り、「阪の下で降りよう。それから少し歩こうじゃないか。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
矢田の方では君江のいう事をに受け、最初の晩君江をつれて行った神楽阪かぐらざか裏の待合へ行き、二時過まで待ちあぐんでいたが、電話さえかかって来ないので、矢田は形勢を察し
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
暑中休暇には二人連れで三日ばかり箱根はこねへ出掛ける。郊外の家はその前に畳んで牛込うしごめ矢来町やらいちょうに移っていたので、毎晩手をひきつれて神楽阪かぐらざかの夜店を見歩く。二人の新婚生活は幸福であった。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)