祇園林ぎおんばやし)” の例文
きょうも彼は、八坂やさか祇園林ぎおんばやしなど、遅桜おそざくらの散りぬく下を、宿の方へ、戻りかけていた。すると誰か、将門将門と、うしろで呼ぶ者がある。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義貞は、自己の陣地を、粟田口から十禅寺ノ辻の辺に占め、楠木勢は、祇園林ぎおんばやしへ下がって潜み、最勝寺の森には千種ちぐさ、名和。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お……なるほど……たいへんな人群ひとむれだ」吉水の近くへ来ると、祇園林ぎおんばやしや五条の坂や、また、四方よもの道を遠しとも思わないで、ぞろぞろと、集まってくる往来に、二人は、顔を見あわせた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)