硫黄附木いわうつけぎ)” の例文
たまり兼ねて起出した樣子、——火打鐵ひうちがねの音や、荒々しい足音にも、憤々ふんぷんたる怒りはよく判ります。プーンと匂ふ、硫黄附木いわうつけぎの匂ひ。
平次はおゑつの後姿が廊下に消えると、踏臺を戸棚の前に持つて行き、硫黄附木いわうつけぎを一枚ともして、念入りに戸棚の上を調べ始めました。
その下に硫黄附木いわうつけぎが一枚と一とつまみの火口ほぐちが、濡れたまゝ落ちてゐるのを、平次はそつと拾ひながら續けました。
「親分さん、こはいことですが、幸三郎の言つたことに少しの嘘もありません、——その翌る日この格子から、硫黄附木いわうつけぎ消炭けしずみで書いた、こんな物を投込んだ者があります」
「へエへエ唯今、硫黄附木いわうつけぎがありますから、七輪の火からすぐ附けられます」