瞬刻しゅんこく)” の例文
ほとんど、同じ瞬刻しゅんこくにこの言葉は放たれ、お互の耳の中に人の声としての最後にきくものだった。矢はついに放たれた。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
蛇丸じゃまる——という名のとおりに、生き物のごとく自ら発して、しゃ二に襲いかかってくる壁辰の脇腹わきばらを、下から、つかまで肉に喰い込んで突き——上げたと見えた秒間、その紙一枚のような瞬刻しゅんこくだった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)