真黒闇まっくらやみ)” の例文
文治はそれと心付きまして、手燭てしょくを持って台所の戸を明けますと、表はみぞれまじりにふりしきる寒風に手燭は消えて真黒闇まっくらやみ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まして未だかつて知らぬ敵地へ踏込む戦、ことに腹の中の黒白こくびゃく不明な政宗を後へ置いて、三里五里の間も知らぬ如き不詮議の事で真黒闇まっくらやみの中へ盲目探りで進んで行かれるものでは無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あとはまた真黒闇まっくらやみになるのだが、そんな事をとかくいうことはかえって余計な失礼の事のように思えたので、そのままに坐を立って、ふすまを明けて奥へ入った。やはり其処そこは六畳敷位の狭さであった。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)