皓歯こうし)” の例文
旧字:皓齒
そして明るいと小気味よい鼻は静観の美であり、かすかに開かれた紅唇くちから覗く、光さえ浮んだ皓歯こうしは、観客の心臓を他愛もなくえぐるのだ。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
夜は、君の脱いだ靴の奥へ潜り込んでぐっすり眠るだろう。そのぽけっと猿が、肥った料理人ダクタアの手の平から星へ向って小粒な皓歯こうしいていた。
さぞ横顔がよいだろう、そう思われるような高い鼻、いわゆる皓歯こうしそれを蔽て、軽く結ばれている唇は、紅を注したように艶がよい。笑うと左右にえくぼが出来る。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼女は何んの屈託気くったくげもなく、朗らかに笑っていた。そしてその笑うたびに、色鮮やかに濡れたくちびるの間から、並びのよい皓歯こうしが、夏の陽に、明るく光るのであった。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)