白髪白髯はくはつはくぜん)” の例文
白髪白髯はくはつはくぜんを隠し、変装の部分をすっかり覆って、その代りに、これ丈けはわしの素姓をまざまざと語っている両眼丈けを現わしたのだから
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
先客にはすでに白髪白髯はくはつはくぜんの和製タゴール老人がいた。監守は相当の年輩に見えた。黒の制服をつけ、謹直な、素朴な態度で彼に応対していた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
白髪白髯はくはつはくぜんの博識たちがあっと驚いているうちに、豪雨と、暴風と、鳥獣の賛美と、人民の意思を具現し、日光をあつめ、植物どもの吐息を吸い、鉱石の扇動に乗じて、いつの間にか
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
そして、引戸がガラガラとあいて、その向こう側に白髪白髯はくはつはくぜんの老人が、ニコニコ笑いながら立っていた。話に聞いた高梨家の執事なのであろう。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
が、そこに新生した蒼穹そうきゅうは、全く旧態をやぶったすがただった。白髪白髯はくはつはくぜんの博識たちがあっとおどろいているうちに、山から山へ、いつの間にか脈々たる黄道こうどうにじが横たわっていた。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
しかし、高梨という白髪白髯はくはつはくぜんの老人が、ちゃんと正規の手つづきを踏み、多額の敷金を納めて借り受けたという以外には、何事もわからなかった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして、その中に眼を光らせていたのは、なんと高梨家の執事しつじと称する、白髪白髯はくはつはくぜんの怪老人ではなかったか。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
花婿であるわしはと云うと、西洋流に胸の白い礼装はしていたが、白髪白髯はくはつはくぜんに黒眼鏡めがねという異様な姿だ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
背広姿でツルのようにやせた白髪白髯はくはつはくぜんの北小路博士、その三人がそれぞれ安楽イスにこしかけて、チラチラと、時計の針をながめているようすは、ものものしいというよりは、何かしら奇妙な
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)