痩狗そうく)” の例文
れっきとした藩士が、なぜ身を痩狗そうくの形にやつして、お江戸八百八丁の砂ほこりに、雨に、陽に、さらさなければならなかったか。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
陽のめも見得ぬ自責の痩狗そうくあす知れぬいのちを、太陽、さんと輝く野天劇場へわざわざ引っぱり出して神を恐れぬオオルマイティ、遅疑ちぎもなし、恥もなし、おのれひとりの趣味の杖にて
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
痩狗そうくそのままに、くちばし突出、身の丈ひょろひょろと六尺にちかき、かたち老いたる童子、実は、れいの高い高いの立葵の精は、この満場の拍手、叫喚の怒濤どとうを、目に見、耳に聞き、この奇現象
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)