甲斐性かひしやう)” の例文
母はこの子が四つの歳、みづから家を出でゝ我れ一人苦をのがれんとにもあらねど、かたむきゆく家運のかへし難きを知る実家の親々が、甲斐性かひしやうなき男に一生をまかせて
琴の音 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三十にならぬ若い身空で、細君をもらつてすつかり家に収まつたり、巧みに創作の調節を取つて、確乎しつかりと文壇の地位を高めて行くと云つたやうな、さう云ふ甲斐性かひしやうのある人間ぢやないんだ。
良友悪友 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)