甲斐々々かひがひ)” の例文
甲斐々々かひがひしいゆき子の姿を、富岡は不思議さうに眺め、二人だけのよろこびが、ひそかに営まれてゐるのを盗人の心理で眺めてゐた。二階では犬がやかましく吠えてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
三言とは呼ばれもせず帯より先にたすきがけの甲斐々々かひがひしく、井戸端にいづれば月かげ流しに残りて、はだへを刺すやうな風の寒さに夢を忘れぬ、風呂は据風呂すゑふろにて大きからねど
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)