田鼠たねずみ)” の例文
いまの鼹鼠もぐら田鼠たねずみの形を、およそ三百倍したほどな、黒い影が二つ三つ五つ六つ、瓜畑の中へ、むくむくといて、波を立てて、うねって起きた。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
田鼠たねずみりおほせても草隱れ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
溜息ためいきいてる、草のしげみを、ばさり、がさがさと、つい、そこに黒くいて、月夜に何だか薄く動く。あ、とお優さんは、なまめかしい色を乱してすそを縮めました。おや、鼹鼠もぐらか、田鼠たねずみか。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)