玉瀾ぎよくらん)” の例文
「大雅は余程呑気な人で、世情に疎かつた事は、其室玉瀾ぎよくらんを迎へた時に夫婦の交りを知らなかつたと云ふのでほぼ其人物が察せられる。」
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そのあとで妻の玉瀾ぎよくらんは、大雅が生命よりも大事な筆を忘れてゐるのに気がついたので、それを持つて直ぐにあとを追ひかけた。そして忘れ物だと言つて筆を手渡しすると、大雅は鄭重に頭を下げた。
茶話:12 初出未詳 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)