“玉楠”の読み方と例文
読み方割合
たまぐす100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
横浜の海岸近くに大きな玉楠たまぐすがしげっている、世にやかましい神奈川条約はあの樹の下で結ばれたことなぞを語って見せるのも、この亭主だ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あの辺は駒形水神こまがたすいじんもりと呼ばれるところで、玉楠たまぐすの枝には巣をかける白いからすがあるが、毎年冬の来るころになるとどこともなく飛び去ると言って見せるのも、この亭主だ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
冬じゅうどこかへ飛び去っていた白いからすは、また横浜海岸に近い玉楠たまぐすへ帰って来る。旧暦三月の季節も近づいて来た。寛斎は中津川の商人らをしきりに待ち遠しく思った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)