玉日たまひ)” の例文
すると、私のいた左側から留木とめきかおりがぷうんと漂ってまいります。あなたは確かに玉日たまひ様に心をられていたに違いありません
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親鸞聖人しやうにんの室玉日たまひ姫のむかしは別だが、今の世には僧侶や牧師の女房にろくな女は見つからないやうだ。アメリカのメソヂスト派の牧師にバツクレエ博士といふ爺さんがある。
建仁けんにん三年の十月。綽空しゃっくうにとっては一つの到達であり、玉日たまひにとっては忘れ得ない生涯の日が来た。二人は、婚儀の座に並んだ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
通俗的な親鸞上人伝によれば、修行僧時代の若い親鸞の恋人玉日たまひまえは、この月輪つきのわ兼実のむすめということになっている。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玉日たまひ……」思わず口のうちでこう呼んでみて、せめてもの心遣こころやりにすることすらあった。熱い息の中で
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)