猿楽町さるがくてう)” の例文
旧字:猿樂町
猿楽町さるがくてうを離れたのは今で五年の前、根つからお便りを聞く縁がなく、どんなにおなつかしう御座んしたらうと我身のほどをも忘れて問ひかくれば、男は流れる汗を手拭にぬぐふて
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先方さきは忘れたかも知らぬが此方こちらはたしかに日まで覚えてゐる、阿関おせきが十七の御正月、まだ門松を取もせぬ七日の朝の事であつた、もと猿楽町さるがくてうのあのうちの前で御隣の小娘ちいさいのと追羽根して
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)