猊下げいか)” の例文
大谷尊由という人、師と称するか、猊下げいかというか、私は全然知らないから、もとより師であるか、僧侶であるかそれさえ知らない。
現代能書批評 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
もっとも、相手が誰だかってことは承知していましたけれど……これは即刻けりをつけなくちゃなりません! 猊下げいか、どうぞ信じてください。
「ここの主教猊下げいかは、馬車を使わずに馬に乗って管区を巡廻なさるんだが」と補祭がペンを置きながら言った
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
先生方はみんな頭の涼しい方で、なかには管長猊下げいかもあり、衣をつけて教室へでていらっしゃる。
勉強記 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
猊下げいかへ通すまでもなく、玄関子がよろしく取計らってしまうことは、わかりきったことで、神尾主膳としても、その辺の常識は無ければならないのですが、いささか覚悟の前であったのでしょう
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「噠𡃤喇嘛猊下げいかのご年齢は今年お幾歳いくつでございましたでしょう?」
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
猊下げいか様、わたくしは自分の茶番がうまくいかないなと思うと、その瞬間は、両方の頬が下の歯齦はぐき干乾ひからびついて、身うちがひきつってくるようなんでございますよ。
ところで、猊下げいか、あなた様に向かっては満腔まんこうの歓喜を披瀝ひれきいたしまする!