物忌ものい)” の例文
そういう仕方で目の錯覚、物忌ものいみ、嗜虐しぎゃく性、喫煙欲というような事柄へも連れて行かれれば、また地図や映画や文芸などの深い意味をも教えられる。
寺田寅彦 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
昔のギリシャかローマに何かそれに類する「禁戒」「タブー」「物忌ものいみ」といったようなものがあったのではないかという疑いをおこさせるには十分である。
ピタゴラスと豆 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
袴野ノ麿は草根木皮をあつめてこれを煮てすすめたが、しるしはなかった。物忌ものいみやき者のせいかと、袴野は都はずれに出掛け、医術の心得のあるおうなをさがして歩いた。
この二つの山までつづくということは滅多めったになく、もしそれがあった日には、土地の人は総出で竜神の社へ集まり、おはらいをし、物忌ものいみをし、重い謹慎をしておそれる。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古来の物忌ものいみの一つの形であったことが明らかである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)