片側町かたがわまち)” の例文
元来が往来の少ない片側町かたがわまち、ほかの店の者はあわてて奥へ逃げ込んでしまったので、これだけの人間が係り合いになったわけです。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
江戸川の片側町かたがわまちから横へ曲がる。高台へってかなり大きな構えである。藤井紋太夫のやしきはそこだった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところどころ、川べりの方の家並やなみがけて片側町かたがわまちになっているけれど、大部分は水の眺めをふさいで、黒いすすけた格子こうし造りの、天井裏てんじょううらのような低い二階のある家が両側にまっている。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)