無駄死むだじに)” の例文
しかしせっかくの切り出しようも泰然たる「はい」のために無駄死むだじにをしてしまった。初心しょしんなる文学士は二の句をつぐ元気も作略さりゃくもないのである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大義、しんを滅す、とは、この事じゃ。小太——無駄死むだじに、犬死をしてはならんぞ。幸、七瀬が入り込んだとあれば、また、いかなる手段にて、敵をくじく策略が生れて参るかも知れぬ。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
それも非がこっちにあれば格別だが、いわゆる正義のため、人道のためなら、たとい無駄死むだじにをやるまでも進むのが、義務を知る男児の本懐であろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)