無間むけん)” の例文
や。行は一念十念むなしからずと信じて。無間むけんに修すべし。一念なおむまる。いかにいわんや多念をや
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
無間むけんの地獄に堕ちるように、聖道門しょうどうもんのほうではいうが、われわれ他力本願の念仏行者は、決して悪人といえども、それがために、憎むこともできない、避ける必要も持たない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無間むけんの鐘や、うめ手水鉢ちょうずばちじゃああるめえし、そんなにおめえの力で——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
身の毛もよだつ無間むけん奈落ならくだ。こいつをちらとでものぞいたら最後、ひとは一こともものを言えなくなる。筆を執っても原稿用紙の隅に自分の似顔画を落書したりなどするだけで、一字も書けない。
ダス・ゲマイネ (新字新仮名) / 太宰治(著)
無間むけんの底につづく密室の中で、病後の竜之助なるものを完全に絞殺して、その地下底深く投げ落して秘密に葬ったという説を、まことしやかに言い触らして歩く者もある。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)