無果花いちじく)” の例文
その父の背中は真白くてヌルヌルと脂切あぶらぎっていた。その左の肩に一ツと、右の背筋の横へ二ツ並んで、小さな無果花いちじく色のいぼが在った。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
無果花いちじくの枝に小さな浴衣なぞの掛けて乾かしてあるのも、宿の女の兒達の着るものかと見えて愛らしい。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)