無手むんず)” の例文
次の間で耳を澄して居た源次郎が、バタバタ逃出すところを、飛付いた八五郎に無手むんずと襟髮を掴まれました。
思はず後居しりいに腰を突く、ひざの上に真俯伏まうつぶせ、真白な両手を重ねて、わなゝくまげの根、うなじさへ、あざやかに見ゆる美人のえりを、が手ともなく無手むんずと取つて一拉ひとひしぎ。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
八五郎が無手むんずと組付きました。この爭ひは短かくて激しいものでしたが、平次が手傳つて、灯の中に擧げさした顏を見ると、それはあの番頭の仲左衞門の齒を食ひしばつた惡相だつたのです。
無手むんずと組んで行くのを、恐ろしい剛力で、ハネ飛ばして、一気に外へ。
無手むんずと組んで行くのを、恐ろしい剛力で、ハネ飛ばして、一氣に外へ。
ヘタヘタと崩折れる粂吉の襟髮えりがみを、八五郎が無手むんずと押へました。