無住むじゅう)” の例文
川口かわぐちと云う処に幸い無住むじゅうの薬師堂が有ると云うので、これへ惠梅比丘尼を入れて、又市が寺男になって居てお経を教えて居る。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして無住むじゅうどうようになっていたので、秀吉ひでよし呂宋兵衛るそんべえに、てんおか居住きょじゅうすることをゆるした。だが、南蛮寺をおまえにやるぞとはいわない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無住むじゅうの廃寺にきしる戸の響きは、音なき山里に時ならぬ木霊こだまを送りました。荒れはてた床を踏んで内に入り、燈火を高く掲げた時、仏壇の前方、並ぶずしの中央に世尊の顔が幻の如く浮び出ました。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
又「おっと心得た、僕の縁類えんるい佐野さのにあるから、佐野へ持って往って、山の中の谷川へ棄てるか、又は無住むじゅうの寺へでも埋めれば人に知れる気遣きづかいはないから心配したもうな」