“炕（カン）” の例文
僧房は厚い壁と閂のついた重い扉で仕切られた三坪ばかりの薄暗い部屋で、羊毛の毛氈を敷いた臥牀と炕（カン）の焚口がついているだけの簡素なものである。
新西遊記 (新字新仮名) ／ 久生十蘭(著)
その左右が二尺足らずの高さの炕（カン）（温突）になつて居て、其上に高粱の稈（から）で造つた莚——謂ゆる「アンペラ」が敷かれ、片方に十人づつの華工の寝床が並んでゐる。
満蒙遊記：附　満蒙の歌 (新字旧仮名) ／ 与謝野寛、与謝野晶子(著)
翌朝……孫（そん）伍長は、愕然（がくぜん）として炕（カン）の上から飛び起きた。
雲南守備兵 (新字新仮名) ／ 木村荘十(著)
中央に茶を煎る炉があり、卓と椅子を備へ、左右の室に炕（カン）（温突（ヲンドル））を設けて、一方は僧室、一方は客室である。私達は客堂で小孩（セウハイ）（僮子）の汲んで出す茶を喫して小憩した。
満蒙遊記：附　満蒙の歌 (新字旧仮名) ／ 与謝野寛、与謝野晶子(著)
二分心（にぶしん）のくらきラムプに読み難し高嶺の寺の炕（カン）にある書（ふみ）
満蒙遊記：附　満蒙の歌 (新字旧仮名) ／ 与謝野寛、与謝野晶子(著)