火気かっき)” の例文
旧字:火氣
つい火気かっきで目がくらんで子どもをはなしてしまい、じぶんも間もなく橋と一しょに落ちこんで流れていったのだと話していました。
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
とうとう自分の魂が赤い炭の中へ抜出して、火気かっきあおられながら、むやみに踊をおどってるような変な心持になった時に、突然
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
熱い蕎麦湯そばゆすすりながら、あかるい洋灯ランプの下で、ぎ立ての切炭きりずみのぱちぱち鳴る音に耳を傾けていると、赤い火気かっきが、囲われた灰の中でほのかに揺れている。時々薄青いほのおが炭のまたから出る。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)