澄江すみえ)” の例文
「第一わしのようなこんな老人に、もろく負けるようなそんな伎倆では、自慢しようも出来ないではないか。のう澄江すみえ、そうであろうがな」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いろいろ考えたうちに一番感じたのは、自分がこんな泥だらけの服を着て、真暗なあなのなかにしゃがんでるところを、艶子つやこさんと澄江すみえさんに見せたらばと云う問題であった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
主水もんど澄江すみえも失望したが、とにかく明朝宿を立ち、高萩へ行って猪之松親分を探り、さっきの武士が陣十郎か否か、確かめて見ようと決心した。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
自分の魂が遠慮なく火の中をけ廻って、艶子つやこさんになったり、澄江すみえさんになったり、親爺おやじになったり、金さんになったり、——被布ひふやら、廂髪ひさしがみやら、赤毛布あかげっとやら、うなごえやら、揚饅頭あげまんじゅうやら
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
叫ぶ娘の澄江すみえをグッと、再び抱え込んだ陣十郎は、二人の武士に向い威嚇的に、白刃を振り廻し叱咤した。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)