漆扉うるしど)” の例文
その上で鉄柵扉を開いたとすると、それまで頭上の灯で妨げられていたものが、突然漆扉うるしどの上に不気味な姿となって輝き出すでしょう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかし、色調を奪って、その眩耀ハレーションを吸収してしまうばかりでなく、それを黒と白の単色画モノクロームに、判然と区分してしまうものが、実にこの漆扉うるしど——すなわち黒鏡ブラックミラーなのでした。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかし、その点描法ポアンチリズムの理論と云うのは、この場合単に、分裂した色彩を綜合する距離を示したのみのことです。無論その色彩だけでは、朦朧もうろうとしたものがこの漆扉うるしどへ映るにすぎないでしょう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)