淡墨色うすずみいろ)” の例文
日曜日の日の暮れぐれに行田から帰って来ると、秩父の連山の上に富士が淡墨色うすずみいろにはっきりと出ていて、夕日が寒く平野に照っていた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ただ城楼じょうろう高きところ——さがふじ大久保家おおくぼけ差物さしものと、淡墨色うすずみいろにまるくめたあおいもんはたじるしとが目あたらしく翩翻へんぽんとしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)