涎衣ぜんい)” の例文
一日あるひ侯は急に榛軒を召した。榛軒は涎衣ぜんいを脱することを忘れて侯の前に進み出た。上下しやうか皆笑つた。榛軒わづかに悟つてしづかに涎衣を解いて懐にし、てんたる面目があつた。是が二つである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)