“浪漫(ロマン)” の例文
歌劇「サムソンとデリラ」はサン=サーンスの傑作でもあるが、浪漫(ロマン)的な良いものだ。デリラの歌と酒宴の音楽は幾通りも入っている。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂、野村あらえびす(著)
悲劇でもよいから、せめて浪漫(ロマン)的な恋をとおもうが、すでに、世の中はせち辛(がら)くなっていてお互いの経済の事がまず胸に来る。
恋愛の微醺 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
と、こう考えると、彼の空中に編み上げる勝手な浪漫(ロマン)が急に温味(あたたかみ)を失って、醜(みに)くい想像からでき上った雲の峰同様に、意味もなく崩れてしまった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
音楽においても浪漫(ロマン)派または表現派の名称をもって総括し得る傾向はすべて体験の形式的客観化を目標としている。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
かつてブラームスと対立した浪漫(ロマン)派の作曲家であったが、ドイツ人以外にはあまり好まれず、レコードにも甚(はなは)だ恵まれない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂、野村あらえびす(著)
今這入った女の動静をそっと塀の外から窺(うかが)うというよりも、むしろ須永とこの女がどんな文(あや)に二人の浪漫(ロマン)を織っているのだろうと想像するつもりであったが、やはり聞耳(ききみみ)は立てていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
浪漫(ロマン)主義の新天地に、その芸術的創作力を存分に伸ばすために、新しき形式を要求し工夫したのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂、野村あらえびす(著)