浩々こうこう)” の例文
湾を隔つる桜山は悲鳴してたてがみのごとく松を振るう。風え、海たけり、山も鳴りて、浩々こうこうの音天地に満ちぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
その平生へいぜい怠無おこたりなかりし天は、又今日に何の変易へんえきもあらず、悠々ゆうゆうとしてあをく、昭々としてひろく、浩々こうこうとして静に、しかも確然としてそのおほふべきを覆ひ、終日ひねもす北の風をおろし、夕付ゆふづく日の影を耀かがやかして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
更に南の方を見ると、北利根、横利根、新利根の水一処に落ち合って、十六島は何処に行ったか影も見えぬ。唯水勢浩々こうこう渺々びょうびょうとして凄じく南の方に押して行くのが荒海のように聞える。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)