浅慮せんりょ)” の例文
旧字:淺慮
「さて、浅慮せんりょ千万な。いかに、彼がうつけ者でも、自分で殺害した女の死人形を見て、何で、涙を流そうか。犯罪人の心理とは、決して、そうしたものではない」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そう思われても、しかたがござりませんけれど、今までたてついてきましたことは、ほんとに、世間知らずの女心から出た浅慮せんりょ、どうぞ、わたしの真心をおくみとりなされて——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
強い緊張のために、肩の凝りきった時のような感じが体全体にみなぎった。自分の少しばかりの言葉がおぬいさんを泣くほどに苦しめたかと思うと、園は今夜の浅慮せんりょを悔いるような気にもなった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「一鞭打って、御着ごちゃくまで行って参りまする。私がそこへ臨む以上は、断固だんことして、家中の異分子を片づけ、主人政職には意見を呈し、かならず浅慮せんりょな変節を正さずには措きません」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「みなわたくしの浅慮せんりょより求めたわざわいというに尽きまする。申しわけございませぬ」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)