活計向くらしむき)” の例文
ああもしたらまだ活計向くらしむきの助けになるだろうとはたの者から見ればいろいろ忠告のしたいところもあるが、本人はけっしてそんな作略さりゃくはない
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「親方の施し道楽は至極結構だが、女房を持たないと活計向くらしむきに損がありますから、早くいのをお貰いなさい」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
シナ兵の中にはせた青い顔をして居る奴が随分多い。チベット兵士にはそんなのは少ないがしかし気概は持って居らない。これは大方収入が少なくて活計向くらしむきに心をなやますからであろうと思われる。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
富の程度に多少等差のある二人の活計向くらしむきは、彼らの子供が持つ玩具おもちゃの末に至るまでに、多少等差をつけさせなければならなかったのである。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
長二は母の年回ねんかいの法事に、天竜院で龜甲屋幸兵衛に面会してから、格外の贔屓を受けていろ/\注文物があって、多分の手間料を貰いますから、活計向くらしむきも豊になりましたので、かねての心願どおり
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
疑もなく道楽心の発現で、好奇心兼広告欲も手伝っているかも知れないが、まあ活計向くらしむきとは関係の少ないものです。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)