はなみず)” の例文
手の甲ではなみずをふいている者、別れを惜しんで悲しげな者、それかと思うと、二三人の男達はこんな会話を交していた。
親方コブセ (新字新仮名) / 金史良(著)
涙はおろか、はなみずをたらしていた時代も、幼少、寝小便の癖があったことまで、この老公には自分の生い立ちの何もかもよく知り抜かれているのである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるとき、御飯を食べていたときに私は大阪おばあさんがどんぶりの中にはなみずをたらしたのを見つけた。私がそれを云ったら、大阪おばあさんは頑固に否定した。私は母からたしなめられたようである。
生い立ちの記 (新字新仮名) / 小山清(著)
左右の総代たちの席からはなみずをすする音が洩れだした。
渡良瀬川 (新字新仮名) / 大鹿卓(著)