洒々しやあ/\)” の例文
「ちよつと散歩に行つて来ると云つて出たので御飯も食べないで待つてゐれば、洒々しやあ/\と斯んなところに来てゐるなんて……」
競馬の日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
『大變な事になるんですね。』と自分は極めて洒々しやあ/\たるものである。尤も此お説法中は、時々失笑を禁じえなんだので、それを噛み殺すに少からず骨を折つたが。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「おい、どこへ行くんだ」と声をかけると、やつこさん、ちよつと驚いたには驚いたらしいがね。洒々しやあ/\とかうぬかすぢやありませんか——「こんな晩に、あたしひとりでうちにゐられますか」
雅俗貧困譜 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「なアに、まア、精々勉強し給へ」と、てんで洒々しやあ/\したものだ。そして、「君の産はどこ」などと義雄に平氣な問ひを發し、碁盤を見て、その前に坐わり、「さア來給へ——五目は大丈夫だらう。」
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
しかも自分では滿足した態度で洒々しやあ/\として批評の筆を進めてゐる。
そのやうな時代に、役者の口から、然も上方役者の、憎気な太ツ面から洒々しやあ/\と「私は女が趣味であります。」なんて聞いてジリジリせずには居られなかつたのも自分にとつては当然だ。
『成程、何方も洒々しやあ/\としてますな。』
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)