治右じえ)” の例文
「腰本治右じえは意気地がのうても、娘は将軍家の息がかかっておるという話じゃからのう、おてかけ馬に乗って来そうなものじゃが——」
「なぜたわむれた! よしや治右じえの企らみであろうとも紋は予が寵愛の女じゃ。知りつつその方がまたなぜたわむれた!」
小侍たち六人が飛び出して来たその鶉席に傲然ごうぜんと陣取って、嘲笑あざわらうようにこちらを見眺めていた顔こそは、小芳がまだ曲輪にいた頃、梅甫とたびたび張り合った腰本こしもと治右じえ衛門なのです。