“沒義道（もぎだう）” の例文
新字：没義道
もちろん圭一郎は千登世を正妻に据ゑるため妻を離縁するなどといふ沒義道（もぎだう）な交渉を渡り合ふ意は毛頭なかつた。
崖の下 (旧字旧仮名) ／ 嘉村礒多(著)
「龍の口へ訴へ出ると申したのは、決して脅（おど）かしぢやありません。あんまり沒義道（もぎだう）なことをされると、町人風情もツイそんな心持になるぢや御座いませんか」
銭形平次捕物控：051 迷子札 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
尚だ所天（やど）がゐた時分（じぶん）に、ほら、氣が莎蘊（むしやくしや）することばかりなんでせう、所天はもうお金に目が眩むでゐるんですから、私が何と謂ツたツて我を押張（おしは）ツて、沒義道（もぎだう）な事を爲す
平民の娘 (旧字旧仮名) ／ 三島霜川(著)
彦兵衞は言ふだけのことを言ふと、娘と徳之助を曉闇（げうあん）の中に殘したまゝ、沒義道（もぎだう）に戸をピシリと——
銭形平次捕物控：075 巾着切の娘 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
折入つての頼み、平次もこの上は沒義道（もぎだう）に突つ放されさうもありません。
銭形平次捕物控：020 朱塗りの筐 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)
平次は沒義道（もぎだう）にクルリと背を見せました。
銭形平次捕物控：082 お局お六 (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)