沈香ちんこう)” の例文
「それは旦那のでございます。白檀びゃくだんとか沈香ちんこうとかの入った、長い長いカンカンの線香がお好きで、半ときいぶっていると御自慢にしていました」
沈香ちんこうかず、何とやら。間違がなくてい。しかし吸う方には君達のような役に立たずもいるけれど、数が多い所為せいか、いざという場合に使える人間が多い。
善根鈍根 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
近傍の……日天スールヤの堂でも見たのか。そこには、奇矯のかぎりを尽す群神の嬌態がある。それとも、麝香じゃこう沈香ちんこう素馨そけいの香りに——熱帯の香気に眩暈を感じたのではないか。
一週一夜物語 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)