沁透しみとお)” の例文
急に森を抜出たせいか吹曝ふきざらしの車の上にいると霧雨が肌にまで沁透しみとおって来てゾクゾクした寒さに襲われて来ました。と、さっきの工夫がいうのです。
(新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
寒い汐風しおかぜが、蒼い皮膚を刺すように沁透しみとおった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ああ、はらわた沁透しみとおる!」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
恐ろしい力を持った恐怖が彼の脳裡に、硫酸のように、沁透しみとおった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)