汽艇ランチ)” の例文
たとえば今、宮島口駅の改札を出たとたんに、かなたの桟橋には、連絡汽艇ランチが出かけている。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、彼等は一人一人静かに舷梯げんていりて行ったが、最後の一人が汽艇ランチに納まったのを合図に、憲兵達はソレッとばかり一斉に跳びかかって、彼等に手かせをはめてしまった。
遠ざかつてゆく ひとつの白亜の汽艇ランチ
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
はしゃいでいるうちに、一隻の汽艇ランチが横付けになって、一人の港役人が船へ上って来た。
飛びこむとたんに、汽艇ランチは桟橋を離れる。旅行中、こんなふうに、時々、駆け足をさせられるのは、愉快な日課である。老いらくの旅路も、うたた童心の汗にぬれ、修学旅行を思い出す。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ、此方こっちもそのつもりで、汽艇ランチに平服憲兵が待ちかまえています」