汲手くみて)” の例文
まだ新しいけれど粗末な家であった。家の傍には、幹ばかりの青桐あおぎりが二本たっている。若葉が、びらびらと湿っぽい風に揺れている。井戸がその下にあって、汲手くみてもなく淋しい。やはり雨が降っている。
抜髪 (新字新仮名) / 小川未明(著)