池沼ちしょう)” の例文
こうしたじめじめした池沼ちしょうのほとりの雰囲気はいつも自分の頭のどこかに幼い頃から巣くっている色々な御伽噺おとぎばなし中の妖精を思い出すようである。
雨の上高地 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
山入やまいりの水源は深く沈んだ池沼ちしょうであろう。湖と言い、滝と聞けば、末のながれのかくまでしずかなことはあるまいと思う。たとい地理にしていかなりとも。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すなわち一生を御社おやしろに捧げて、歌いつ舞いつする者となったり、もしくは水の精をむこもうけたとって、末にはするすると長い裳裾もすそいて、池沼ちしょうの底に入ってしまったり
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)