水先みずさき)” の例文
大帆も矢帆やほ小矢帆こやほも、かんぬきがけにダラリと力なく垂れさがって、かじ水先みずさきもないように波のまにまにただよっている。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
船長はビクトリアでやとい入れた水先みずさき案内と二人ならんで立っていたが、葉子を見るといつものとおり顔をまっにしながら帽子を取って挨拶あいさつした。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
すぐに、ひどい大あらしにあって、風のまにまに、あちらこちらと流されたあげく、とうとう、船長も、水先みずさき案内も、どこをどう走っているのか、だんだん、たよりなくなってゆくばかりでした。
倉地の事業というのは日本じゅうの開港場にいる水先みずさき案内業者の組合を作って、その実権を自分の手に握ろうとするのらしかったが、それが仕上がるのは短い日月にはできる事ではなさそうだった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)