れき)” の例文
その瞬間、老驥ろうきということばが、一角のあたまのなかに、想い出された。老驥ろうきれきに伏す。
口笛を吹く武士 (新字新仮名) / 林不忘(著)
老驥ろうきれきふくすれども、志千里にありという意がこのうちに蔵せられている。第三もまた同じ事である。作者は天命に任せるとはいっているが、意を栄達に絶っているのではなさそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分が甲野の身分でこの部屋の主人あるじとなる事が出来るなら、この二年の間に相応の仕事はしているものを、親譲りの貧乏に、れきに伏す天の不公平を、やむを得ず、今日きょうまで忍んで来た。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)