檀那様だんなさま)” の例文
旧字:檀那樣
檀那様だんなさま御飯ができましたが。」と言う声に、びっくりしてあたりを見廻すと、日はいつか暮れかけたと見え、座敷の中は薄暗くなって、風がさびに庭の木をうごかしている。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その時入口が開いて、女が急いで這入って来て、「団子坂の檀那様だんなさまがお見えになりました」といいます。びっくりして出ると、そこに軍服をたお兄様が、いつもの微笑をして立っていられます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
「これは兄が檀那様だんなさまに差し上げてくれと申しましたから。」
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
檀那様だんなさまは毎日お出かけですか。」こんな事から話をはじめた。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「まあ、そう思詰おもいつめないでもよいではないか。どうかして上げたいのは山々だけれど、檀那様だんなさまはお前も知っている通り、お金の取れる仕事ではないので、どうにもならないが、一体どれくらいあったらしのいで行かれるの。」
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)