樊川はんせん)” の例文
明日、樊川はんせんへ向って立つからには、敵の関羽と勝負を決し、大きくは君恩にこたえ、一身にとって、武門の潔白をあかし立てんと存ずるのである。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
揚州十年の痴夢ちむより一覚する時、ち得るものは青楼せいろう薄倖の名より他には何物もない。病床の談話はたまたま樊川はんせんの詩を言うに及んでここに尽きた。
梅雨晴 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
樊川はんせん地方の大洪水のため、戦況は有利にすすんだなれど、兵粮の欠乏は言語に絶しており、全軍疲弊の極に達しておる。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「羽将軍のお使いが来たというぞ。関羽様のご家臣なら、樊川はんせんへ従軍したわしらの子の便りも知っていよう」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがみな樊川はんせん地方の敗戦を伝え、七軍の全滅、龐徳ほうとくの戦死、于禁うきんの投降などが、ひろく国中へ漏れたため、庶民まで上を下へと騒動して、はやくも関羽軍が攻め入るものとおびえ
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
龐徳はあくまで淋漓りんりたる戦気を帯びて、三軍の先鋒に立ち、一路樊川はんせんへ猛進した。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今や樊川はんせんの曹仁が、駸々しんしんと堺に迫りつつある事態を告げ、出でてこれを迎撃し、さらに敵の牙城がじょう樊川を奪り、もって、蜀漢の前衛基地としてこの荊州を万代のやすきにおかねばならないと演説した。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)