棚経たなぎょう)” の例文
旧字:棚經
棚経たなぎょうを読んでしまってから、彼は近ごろ御親類中に御不幸でもござったかと訊いた。この矢先に突然そんなことを訊かれて、津の国屋の夫婦もぞっとした。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
箕輪のお時の家でも仏壇に精霊棚しょうりょうだなを作って、茄子なすの牛やうりの馬が供えられた。かわらけの油皿あぶらざらには燈心の灯が微かに揺らめいていた。六十ばかりの痩せた僧が仏壇の前で棚経たなぎょうを読んでいた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)