桟俵さんだわら)” の例文
旧字:棧俵
それから俵をきちんと重ね、縄は縄、桟俵さんだわらは桟俵とわけてまとめ、藁屑わらくずを掃き集め、そして地面にこぼれている米を拾った。
あだこ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
辰さんは桟俵さんだわらを取ってふたをしたが、やがて俵の上に倚凭よりかかって地主と押問答を始めた。地主は辰さんの言うことを聞いて、目を細め、無言で考えていた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『万葉集』にもある足柄山あしがらやまのトブサなどと多分一つの語であり、種俵たねだわらの前後に取りつける桟俵さんだわらも同様に、本来は物のとうとさを標示する一種の徽章きしょうであったかと思われる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
赤い茅萱ちがやの霜枯れた草土手に腰掛け、桟俵さんだわらしりに敷き、田へ両足を投出しながら、ある日、私は小作する人達の側に居た。その一人は学校の小使の辰さんで、一人は彼の父、一人は彼の弟だ。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)